『骸骨ビルの庭』 宮本輝(著) -講談社文庫-

良かった。
宮本輝さんがライフワークだと言った「流転の海シリーズ」は父と子の話し。
私が勝手に思ったことですが、「流転の海シリーズ」で「父と子」を突き詰めていくとき、「もし父と子に血のつながりが無かったら...」という課題に直面したのではないか。
その血のつながりの無い父と子が、本当の意味での父と子として成立する場合、つまり、かわいそうだからとか、負い目、世間体、算段、そのようなものはなく、血の繋がらない親子が純粋に成立するのは、どのような状態なのか、どのようなきっかけがあれば、それは起こり得るのか。
それを本書で考えてみたのではないかと、勝手だが、思った。
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『花の回廊―流転の海〈第五部〉』 宮本輝(著) -新潮文庫-

ついに第五作。このシリーズの第一部「流転の海」に宮本氏が「このシリーズは父と子をテーマとした自分のライフワークと位置付け、全部で五作を予定している...」と言うような事を書いていたと覚えている。
このシリーズはかなり面白く、毎回次が出るのを楽しみにしていた。
しかし本屋へ通う回数や、本屋でつぶす時間が減った為か、第四部、第五部は単行本が刊行された時には気が付かず、文庫が出て、それもしばらく経ってから、「アレ、もう出てたんや...」と。
#そうか...以前は単行本メインで漁っていたが、最近は諸般の事情により、文庫メインで漁っているからやな~...
宮本輝氏の本は以前はよく読んだが、最近はほとんど読まなくなってしまった。
何故だろう...
内容的に「情」の「流れ」とか「ありかた」とか「そのもの」を感じる話が多いが、それを求めるなら浅田次郎氏..という選択肢も出てきたのが、その状況ではないかと思う。
もちろん「情」以外のものも宮本氏の小説にはあるが、その部分はまたそれで、他の選択肢が...
と言うことで、宮本輝氏の存在感が、あくまで私の中としてではあるが、薄くなったように思う。
『避暑地の猫』宮本輝(著) -講談社文庫-

総合8点といったところかな。(10点満点)
舞台は軽井沢。
主人公は住み込みの別荘番の息子。
毎年夏にやってくる別荘の主人一家と、年中住み込みで番をしている主人公一家。
非常に狭い閉じた世界内での、二家族間に存在する絶対的な上下関係。
その環境から生まれる嫉妬、妬み、恨み...。
しかし人間としては大して変わらない線上に立つ登場人物たち。
『魂がふるえるとき(心に残る物語―日本文学秀作選)』 宮本輝 編 (文春文庫)
『魂がふるえるとき(心に残る物語―日本文学秀作選)』 宮本輝 編 (文春文庫)
ちょっと感想:
すでに絶版になっていたりする短編小説を集めたもの。
なかなか面白かった。
仮名遣いが古かったりするので、多少読むスピードが落ち、その分
引き込まれ度も下がりがちなところもあった。
玉、砕ける (開高健)
太市 (水上勉)
不意の出来事 (吉行淳之介)
片腕 (川端康成)
蜜柑 (永井龍男)
鶴のいた庭 (堀田善衛)
サアカスの馬 (安岡章太郎)
人妻 (井上靖)
もの喰う女 (武田泰淳)
虫のいろいろ (尾崎一雄)
幻談 (幸田露伴)
ひかげの花 (永井荷風)
有難う (川端康成)
忘れえぬ人々 (国木田独歩)
わかれ道 (樋口一葉)
外科室 (泉鏡花)
一番面白かったのは...
ちょっと感想:
すでに絶版になっていたりする短編小説を集めたもの。
なかなか面白かった。
仮名遣いが古かったりするので、多少読むスピードが落ち、その分
引き込まれ度も下がりがちなところもあった。
玉、砕ける (開高健)
太市 (水上勉)
不意の出来事 (吉行淳之介)
片腕 (川端康成)
蜜柑 (永井龍男)
鶴のいた庭 (堀田善衛)
サアカスの馬 (安岡章太郎)
人妻 (井上靖)
もの喰う女 (武田泰淳)
虫のいろいろ (尾崎一雄)
幻談 (幸田露伴)
ひかげの花 (永井荷風)
有難う (川端康成)
忘れえぬ人々 (国木田独歩)
わかれ道 (樋口一葉)
外科室 (泉鏡花)
一番面白かったのは...