『たそがれゆく日米同盟 -ニッポンFSXを撃て-』 手嶋龍一 (新潮文庫)

ちょっと感想:
前回の「外交敗戦 .....」が面白かったので。
これは一時期ニュースを賑わせていた次期支援戦闘機のはなしを舞台にいったい何が起こっていたのかを、主としてUS側に主眼を置いて書いたもの。
結局、日米同盟は戦後日本がアジア地域で再び軍事的な影響力を保持しないように考えられたもの。つまり日本への疑いが根底にあった。その後ソビエトや中国の脅威に対して、また朝鮮戦争などへの対応で別の意味が生まれ、「疑いへの対策」としての意味は見えにくくなっていた。しかし冷戦の終結とともに米国は新しい敵を探し始め、日本の名前が。ここで日米同盟の底部にあった「日本の軍事大国化の防止」が浮上してきた。これらを大局的に見て、将来につながるよう政策判断する見地が米国にも日本にも必要。と言うとこあたりが、著者の言いたいところかな。
(一部抜粋)
「日本が、将来、軍事大国への道を選択するシナリオは、たった一つしかない」
ブラウン元国防長官は、その最悪のケースを次のように描いてみせる。
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『外交敗戦 - 130億ドルは砂に消えた』 手嶋 龍一 (新潮文庫)

ちょっと感想:
パパ・ブッシュの時の湾岸戦争。
この時の大蔵省と外務省の省益優先の対米外交交渉により何が失われたか。
この本では各省の予算決定権を握り絶大な権力を持つ大蔵省を太平洋戦争時の軍部になぞらえ「財政統帥権」と言っている。
また一九八九年に任期満了でワシントンを離れた駐米大使 松永信雄の言葉として以下を引用。
「・・・・・私にはどうしても気がかりなことがある。戦前、わが国はその強大な軍事力を扱いかねて針路を誤ってしまった。だが、戦後は、金の力で再び国を誤ろうとしているような気がしてならない」
たしかに、軍事優先の北朝鮮や昭和初期の日本には強い違和感を覚えるが、経済優先の現在の日本なども、実はあまり変わらないのかもしれない。
総合:8点
手嶋龍一氏の本は初めてでしたが非常に面白かった。
この人はもともとNHK政治部記者でワシントン支局長だったらしい。私も名前は知らなかったが顔はテレビで見たことあった。現在はジャーナリストとして独立し、本など書いているらしい。
他のも読んでみようと思う。