『すべての人生について』 浅田次郎(著) -幻冬舎文庫-

対談集、かなり面白かった。
○ 小松左京 * アジアの一〇〇年、日本の一〇〇年
○ 陳舜臣 * 香港、この奥深き地よ
○ 澁谷由里 * 張作霖の実像に迫る!
○ 張競 * 『蒼穹の昴』天命をめぐる時代の群像
○ 津本陽 * 日本人を魅了し続ける志士たちの素顔に迫る
○ 高橋克彦 * 北国の英雄 アテルイと吉村貫一郎
○ 北方謙三 * 我らが新選組 なぜ我々は新選組に、幕末に、歴史小説に惹かれるのか
○ 渡辺淳一 * 短篇小説の“へそ”とは?
○ 岩井志麻子 * 見栄っ張り東京人、超法規的岡山人
○ 宮部みゆき * 啖呵切るご先祖様ぞ道標
○ 中村勘九郎(現・勘三郎) * 失われた「男気」を探せ
○ 森永卓郎 * リストラの世に、凛と生きる『五郎治殿御始末』は同時代人である
○ 李登輝 * 武士道と愛国心について
○ 山本一力 * こんな言葉に支えられて生きてきた
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『珍妃の井戸』 浅田次郎(著) -講談社文庫-

中国の歴史はあまり知らないのですが、「珍妃」というのは光緒皇帝の側室で西太后に殺されたことが、中国では常識となっているらしい。
この珍妃が誰に何故殺されたのか...ということを調べていくと.....というお話。
『中原の虹』 浅田次郎(著) ―講談社文庫―

面白かった。
これで読んでいなかった「珍妃の井戸」も読まなくてはならなくなった。
この「蒼穹の昴シリーズ」の面白さは何か?
いくつもあると思うけど、その中に「天命」がある。その天命の具体としてシリーズの要所要所に「白太太」の卦(予言)が登場する。
さて、天命。
これはなかなか難しい。
天命から逃げることは、おそらく出来ない。
『終わらざる夏』 浅田次郎(著) ―集英社―

面白かったが思っていたような内容ではなかった。
1945年8月、日本がポツダム宣言を受諾した後、千島列島のソ連との国境の島「占守島(シェムシュトウ)」に侵攻してきたソ連。
このソ連との戦闘の話しだと思っていたが、そのつもりで読むとまったく肩透かしをくらってしまう。
たしか著者がこの本について「いつか書かなければいけないと思っていた...」というような事を書いていた。
私の個人的な感想で、著者の意図に沿っているかは判らないが、私はその「いつか書かなければいけない事」とは、「日本人にとって終戦とはどのような事だったのか」ではないかと思った。
そして「日本人」といっても大きく二分すれば「兵隊として戦争を戦った日本人」と、「家族を戦争に送り出しその帰宅を心待ちにする日本人」がいた。
この両者の苦悩。
そして、1945年8月15日正午に放送された玉音放送とは何だったのか。
この玉音放送を、日本人はどのように聴いたのか。
この瞬間、なにがどうなったのか。
『月島慕情』 浅田次郎(著) -文藝春秋-

○ 月島慕情
○ 供物
○ 雪鰻
○ インセクト
○ 冬の星座
○ めぐりあい
○ シューシャインボーイ
面白かったのは「月島慕情」「供物」「雪鰻」「シューシャインボーイ」かな。
なかでも「月島慕情」「シューシャインボーイ」は、かなり良かった。
今週は久しぶりの東京出張で、新幹線での時間つぶし用に選びました。
#最近は出張が少なくなったので、じっくり、ゆっくり本を読む時間が減りましたねー。
『沙高樓綺譚 -草原からの使者-』 浅田次郎(著) -徳間文庫-

なかなか面白いのでシリーズ化されたらうれしいな。
砂上の楼閣...沙高樓と名付けられた高層ビルの最上階で、名を成した人が、名誉のため、或いは一つしかない命のため、今まで人に話せなかった体験を話す...。
今回語られる話は、
○ 宰相の器
○ 終身名誉会員
○ 草原からの使者
○ 星条旗よ永遠なれ
『お腹召しませ』 浅田次郎(著) ―中公文庫―

江戸末期の侍社会と言うのは、現在のサラリーマン社会と通ずるところも多いので、なかなか楽しめる。
しかし大きな違いは「腹を切る」と言う責任の取り方があることだ。
しかもその効果は大きく、サラリーマンが会社で「私が辞めます」という事で取り繕えるより、はるかに広い範囲をカバーして「後は何とかなる」と言う状況を作れるようだ。
これを描いたのが表題作の「お腹召しませ」。
『沙高樓綺譚』 浅田次郎(著) -徳間文庫-

沙高樓(さこうろう)...砂の上の高楼...と名づけられた高級高層マンションの最上階の部屋で、各界の名士たちが人には話せない話を語り合う...という会合。
登場人物に人情を絡めた昔語りをさせると言うのは、浅田次郎氏の得意とする舞台。
語られる話は、
○ 小鍛冶
○ 糸電話
○ 立花新兵衛只今罷越候
○ 百年の庭
○ 雨の世の刺客
中でも良かったのは、「小鍛冶」、「立花新兵衛只今罷越候」、「雨の世の刺客」かな。
この3つを紹介すると..
『壬生義士伝』 浅田次郎(著) -文春文庫-

それで、新撰組を壬生浪ではなく壬生義士としたこのタイトルに違和感を感じ、この本は読んでいなかった。
物語は...浅田次郎なので外す心配はなかったが、期待以上に面白かった。
既に映画化されているので、見た人も多いと思います。
私も映画は見たのですが、あまり覚えておらず、「あれ、こんな話だったっけ?」と思った。
脚本で、主張の軸足が「義」から「人情」に移っていたようにも思う。
あるいは、活字ではなく映像の物語では、「義」を表現するのは難しかったのかもしれない。