「少年記」 野田 知佑 (文春文庫)

ちょっと感想:
カヌーイスト野田知佑の少年期の回想録。
この人は好きな川遊びをして、それを本にして生活しているといううらやましい人。うらやましいと簡単に言ったが、そう生易しいものではなく、多くのものとのトレードオフであることは容易に想像できる。
話は物心ついたとき(最初の記憶)から始まり、東京での予備校時代まで。
戦時中の話なども面白かった。
この本を読めば、彼の川へのこだわりが少し理解できた気がする。
あとがきで「自分の人生のコースを修正して、本当にやりたいことだけをやって生きるようになったのは四〇歳を過ぎてからだ。」と言っているが...
彼の本や椎名誠氏の本によく出てくるリンさんが今度結婚することになったという話があって、そこでこのリンさんの面白い伝説が紹介されていた。昔付き合っていた女性に「あなたはいつも私を置いて渓流釣りに出かけるが、私とイワナとどちらが大切なの」といわれた時「そんなことわかっているじゃないか、イワナだ」と答えたという伝説。
方向はぜんぜん違うがロシアの小話を思い出す。
ウォッカばかり飲んでる亭主と奥さんの会話
奥さん「もう我慢できないわ!私をとるのか、ウォッカをとるのか、どちらかに決めて頂戴!」
亭主「その場合のウォッカとは、何本のことだね?」
真剣に天秤にかけてしまう亭主が面白い。
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