『となり町戦争』 三崎 亜記 (集英社文庫)
かなり面白かった。
総合 8点(10点満点)
買ってから知ったのですが、映画化されているようですね。
ある日突然、越してきて間もない自分の住んでる町が、隣の町と戦争を始める...というおはなし。
コミカルタッチなのかと想像したが、重い内容。
#町の役場が、あくまで役所仕事として戦争を遂行していくところがコミカルと言えばコミカルにも思える。
町の間で戦争をすること以外は、まったく今の私たちの日常と変わらない日常。
銃声も聞こえず、戦場らしいものも見ることが出来ず、まったく現実味なく行われていく戦争。しかし町の広報では戦死者数は確実に増えていく。そして主人公のもとに、偵察業務への徴収礼状のようなものが届く...。
直接は聞こえない銃声。直接見ることのない死体。
著者は、この現実味のない怖さが一番言いたいようで、「知らないうちに戦争に加担してしまう私たち」と言うことであるようだ。
また、戦争がその町と、対戦相手のとなり町との、町の発展のための共同事業という設定が面白い。
「戦争で町の発展を!」と言うことらしい。
”お役所仕事”というのも、この本のもう一つのポイント。
これら全て現実世界を、町の戦争と矮小化することで、言いたい事をわかりやすく表現しようとしている。
また文庫版で加えられた「別章」はまったく別の視点である戦争当事者ではない人の視点が付け足され、面白い。単行本化後、この視点が抜けていたことが気になったのかな。
これは私の勝手な感想ですが(ここまでもそうだが)、この著者が問題視している点は、辺見庸が何度も「この現実が許せない」というようなことを言っている内容と近い気がした。
そう言えば最近辺見庸読んでないなー、次は辺見庸にしようかな。
総合 8点(10点満点)
買ってから知ったのですが、映画化されているようですね。
ある日突然、越してきて間もない自分の住んでる町が、隣の町と戦争を始める...というおはなし。
コミカルタッチなのかと想像したが、重い内容。
#町の役場が、あくまで役所仕事として戦争を遂行していくところがコミカルと言えばコミカルにも思える。
町の間で戦争をすること以外は、まったく今の私たちの日常と変わらない日常。
銃声も聞こえず、戦場らしいものも見ることが出来ず、まったく現実味なく行われていく戦争。しかし町の広報では戦死者数は確実に増えていく。そして主人公のもとに、偵察業務への徴収礼状のようなものが届く...。
直接は聞こえない銃声。直接見ることのない死体。
著者は、この現実味のない怖さが一番言いたいようで、「知らないうちに戦争に加担してしまう私たち」と言うことであるようだ。
また、戦争がその町と、対戦相手のとなり町との、町の発展のための共同事業という設定が面白い。
「戦争で町の発展を!」と言うことらしい。
”お役所仕事”というのも、この本のもう一つのポイント。
これら全て現実世界を、町の戦争と矮小化することで、言いたい事をわかりやすく表現しようとしている。
また文庫版で加えられた「別章」はまったく別の視点である戦争当事者ではない人の視点が付け足され、面白い。単行本化後、この視点が抜けていたことが気になったのかな。
これは私の勝手な感想ですが(ここまでもそうだが)、この著者が問題視している点は、辺見庸が何度も「この現実が許せない」というようなことを言っている内容と近い気がした。
そう言えば最近辺見庸読んでないなー、次は辺見庸にしようかな。
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