『蹴りたい背中』 綿矢りさ(著) -河出文庫-

この「蹴りたい背中」は2004年に芥川賞を受賞した作品で、著者は当時19歳。
同時に芥川賞を受賞した「蛇にピアス(金原ひとみ-当時20歳-)」と合わせ、若い受賞者にマスコミでもかなり取り上げられていた。
この本/著者のよさは、内容ももちろん良いのだが、”新鮮さ”が非常にいい。
読み始めてすぐ、この新鮮さに惹きつけられ、その新鮮さは、初めて『キッチン(よしもとばなな)』を読んだ時を思い出させるものだった。
話は脱線するが、「よしもとばなな」の魅力も新鮮さで、当時かなり熱心に読んだ。しかし何冊も読んでその新鮮さを感じなくなると、私にとってのよしもとばななの魅力も失われていったと思う。
話を「蹴りたい背中」に戻すと、
たしかに、ここ数ヶ月で読んだ本の中では一番面白いと思った。
この著者と対照的なのは東野圭吾。『昔僕が死んだ家』の感想で書いた「本質的なところでの物足りないもの」、がこの『蹴りたい背中』にはあると思った。
これは職人の仕事と、芸術家の仕事の違いに似ていると思う。
別な見方をすれば、作品はフィクションだが、そこにノンフィクションとしての著者が存在しているかにあると思う。
総合9点 (10点満点)
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